Aomori Web Advent Calendar 2013、11日担当のRIALAB. 白府です。私は青森県民ではないのですが、ご縁があってお声かけをいただき参加させていただくことになりました。
さて、「今年一番ヒットだったツール」とお題をいただいたわけですが、とても悩み抜いた結果「一番じゃわめいたもの」ということにしちゃいました。
こうなると簡単!
私が、今年一番じゃわめいたのは「Raspberry Pi(ラズベリー・パイ)」です。
「Raspberry Pi」というのをかいつまんで説明すると、小さなコンピュータです。
まずは実物写真をご覧ください。
これだけですと大きさが伝わりにくいと思いますので、今年一番持ち歩いたツール「ニンテンドー3DS」と並べてみました。
小さいでしょう!? でも、立派なコンピュータなんです。
見た目こそ10年くらい前に流行ったスケルトンデザインですが、実はケースは別売りで、実際に売っている状態は基板と端子がむき出しの超絶ワイルドな状態です。(悔しいことに、ここの販売元はとても商売上手で、「ショートしたらどうしよう…」という心配性な方のためにジャストフィットなケースもオプションで用意されています。心配性な私は、割高感を感じながらも買いました)
この小さなコンピュータをどうやって使うかと言えば… テレビにつないで使います。
「テレビにつなぐ」と書くと、どうしても往年のファミコンのように「NHK教育に映して…」ということを想像してしまいますが、そこは現代っ子のコンピュータ。HDMIに出力できます。(素晴らしいことにコンポジット端子も付いているので地デジ移行で余ったテレビにも出力できます! もちろんPC用ディスプレイにもつながりますよ)
Raspberry Piをテレビにつないでキーボードとマウスをつなぎ、電源を入れると…
あら不思議!! 立派なコンピュータに変貌するではありませんか!!
Raspberry Piは、かの有名なLinuxも動いてしまうので、みんな大好き!! 黒い画面でハッカーごっこをすることもできます。
ガジェット (小さいガラクタ) 好きの常識として、この手のガジェットの「動く」というのは、本当に「動く」だけで「使える」状態ではなかったりするのですが、そこはワタクシが「一番じゃわめいたツール」で皆様にご紹介したいと自信を持って言えるだけあって「使えます」。
たとえば、黒い画面でいくつかのコマンドを入力すると…
ブログツールとして絶大な人気を誇るWordPressなんかも動いちゃいます!
ここから、ちょっとだけ気合いを入れてセキュリティ関連の設定をすれば、インターネットに公開することもできてしまうくらいに本格的なコンピュータなんです。
さて…
この調子でRaspberry Piの面白さを個別にあげていくと、たぶん年が明けてしまうので、簡単にまとめちゃいます。
Raspberry Piは、WindowsやMac OS Xこそ動かないものの汎用的なコンピュータなので、なんでもできます。特に、LinuxとBSDというサーバ界でとてもよく使われるOSが動作するので、サーバやネットワークの学習用にはオススメです。
黒い画面で操作をするのはちょっと…という方もご安心ください!!
Raspberry Piは、グラフィカルな画面でマウスとキーボードを使いネットサーフィン(笑)やオフィススイートで華麗に仕事をすることも可能です。
さらには、GIMPというフリーソフト界のPhotoshopとも言えるソフトも動かしている方がいるので、デジカメで撮ったお孫さんの写真も綺麗に補整することができそうです。
Raspberry Piは、非常に安価なコンピュータなので、安心して壊すことができます。ですから、「黒い画面を克服したい」と思っているWebクリエイターや開発者の方は、Raspberry Piが壊れるまでとことん使い倒して、黒い画面とフレンドリーな関係になるという使い方はいかがでしょうか?(といっても、端子に変な電源をつなぐなど相当に変わったことをしない限り、物理的に壊れる可能性は低いと思います)
また、Raaspberry Piでは、非常に数多くのプログラミング言語が動作します。
PHPやPerl、Cと言ったメジャーな言語はもちろん動きますし、LinuxでVBやC#、あるいはCOBOLなどいった変わり種も動いてしまいます。これからプログラミングを覚えたいという方にもオススメできるコンピュータです。Java大好きなワタクシ的には、OpenJDKとOracle JVMの両方が動作するので、Javaの学習をしたい方に絶賛オススメです。
そういえば、あのGoogleもRaspberry Piを使って子供向けのプログラミングワークショップを開くらしいです。プログラミング授業の必修化などもあるので、お子様へのご贈答用にももってこいの一品だと思います。(最近のゲームよりも安く、何かと入り用のこの時期のお財布にやさしいこともポイントです)
Raspberry Piは、お値段の方もとってもリーズナブルで、一番高いモデルでも本体価格は35米ドルです。
以前は御本家の「Raspberry Pi Foundation」(http://www.raspberrypi.org/)からしか購入できませんでしたが、最近ではamazonでも購入できるようです。この場合は4380円です。( http://www.amazon.co.jp/Raspberry-Pi-Type-B-512MB/dp/B00CBWMXVE/ )
実際に動かすためには、マウス、キーボード(USB接続)。ACアダプタ(iPhoneやAndroidのUSBアダプタを流用可)、それにHDD代わりのSDカードが必要になります。余っているマウスやキーボードがあればそれを使い回せますし、本体と必要な装置を全部買っても1万円あれば十分におつりがきます。
最後に、Raspberry Piの開発者であるEben Uptonが取り上げられたインタビュー記事がとても素敵だったので、引用してご紹介します。
「Raspberry Piを開発したのは、あらためて多くの子どもたちがコンピューターに夢中になるきっかけになればと思ったからです。これは大学でコンピューターサイエンスを専攻する学生の質の向上につながり、結局は企業が採用する新人の質の向上にもなるでしょう。
多くの子どもたちがコモドール64やTRS-80などのコンピューターを利用できた1980年代と違い、いまの学生たちは趣味としてコンピューターを楽しんできたという感じがありません。子どもたちがコンピューターに夢中になる機会がなかったという事実は、学問の世界を蝕みつつあるのです。」
出典 : WIRED「35ドルPC開発者へ9つの質問:子どもがコンピューターに夢中になる“力”とは」( http://wired.jp/2012/08/16/eben-upton/ ) より
Raspberry Piは、WindowsやMac OS Xのような便利さや快適さはちょっとだけ足りませんが、その分、コンピュータが持っている魅力は、本体の基盤同様”むき出し”で備わっています。触れば触るほど楽しい、使い込めば使い込むほど知ることができるコンピュータ、それがRaspberry Piだと思います。Raspberry Piなら日本語の書籍・資料も豊富なので遊ぶにはもってこいですよ!
Raspberry Piで、一緒に「コンピュータに夢中」になりませんか?